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これが日本のカレー!レシピや独自の進化を遂げた理由をご紹介

2018.12.05

これが日本のカレー!レシピや独自の進化を遂げた理由をご紹介
いまや日本の国民食とも言える「カレーライス」。それは欧州に広まったインド料理が明治維新(1868年)以降の文明開化とともに日本に伝えられ、独自の食文化として発展を遂げてきたユニークな存在です。生まれ故郷であるインドに“ジャパニーズ・カレー”として逆輸入されるほどに成長した華麗なる日本食「カレーライス」の魅力を、その変遷や歴史とともに紐解いていきましょう!

なぜ日本でカレーライスは進化した?独自の進化を遂げた理由とは?

・インドからイギリスを経て伝来した「curry(カリー)」

なぜ日本でカレーライスは進化した?独自の進化を遂げた理由とは?
日本のカレーライスの源流は、ヨーロッパ的解釈のカレーだと言われています。カレーは英語で「curry(カリー)」ですが、語源はインド南部のタミル語でソースやスープを意味する「kari(カリ)」が訛ったという説が有力です。17世紀頃、インドはイギリスの植民地でした。この頃にインドへ渡ったイギリス人がインドの「kari」を欧風にアレンジし、王室のメニューに加えられた頃に「curry」と呼ばれるようになったと伝えられています。

・西洋のルウ・レシピが日本のカレーライスに影響を与えた?

なぜ日本でカレーライスは進化した?独自の進化を遂げた理由とは?2
欧風カレーの特徴は、インドのスパイス主体の料理から、ヨーロッパ人が家庭料理でよく使うルウで作る調理法に変化し、バターやオリーブオイルで小麦粉を炒め、そこに独自にアレンジしたカレーパウダーを加えたカレールウで調理する点です。イギリスでは、18世紀後半頃にはスパイスを効かせたソースで肉や野菜を煮込む「煮込み料理」に変化し、19世紀になるとあらかじめスパイスを調合した「カレー粉」が商品化され、カレー粉と小麦粉でとろみを出したイギリスのカレーは家庭料理として普及しました。

・横浜港の開港とともに伝わり広まった「Curry(コルリ)」

なぜ日本でカレーライスは進化した?独自の進化を遂げた理由とは?3 写真:国立国会図書館デジタルコレクション

このイギリス式のカレーが日本に伝わってきたのは、日米修好通商条約が締結された翌年の安政6年(1859年)6月2日、横浜港が開港した時と言われています。日本で初めて「カレー」という料理を紹介したとされる書物は、万延元年(1860年)の福沢諭吉による「増訂華英通語」で、この中に「Curry(コルリ)」という記述があります。その後、明治5年(1872年)には「西洋料理指南」と「西洋料理通」という本でカレー粉と小麦粉でとろみを出す調理法が紹介され、レシピも記載されました。明治6年(1873年)には、日本陸軍の将校を養成する学校で「ライスカレー」が提供されるようになり、明治41年(1908年)にはイギリス海軍を模範としていた日本海軍がイギリス式カレーを採用。この頃、白米中心で栄養バランスが偏っていた軍人は脚気で亡くなることが多かったらしいのですが、イギリス海軍のカレーを食事に採り入れたところ、脚気が激減したと言います。この時に採用されたカレーは、イギリス海軍のカレーを日本のお米に合うようにアレンジしたもので、現在の日本のカレーライスのルーツとされています。そして、軍隊の食事として定着したカレーライスは、作り方を覚えた兵士たちによって各家庭に伝わり、日本全国に普及していきました。カレーライスの献立は現在の自衛隊にも受け継がれており、毎週金曜日はカレーライスが提供されているそうです。

・日本の高度経済成長期に家庭の食卓に根付いた「カレーライス」

明治初期にイギリスから伝来したカレーは、瞬く間に日本の食生活に浸透していきます。明治9年(1876年)には札幌農学校(現在の北海道大学)に教頭として着任したクラーク博士の発案で、生徒達の栄養状態を改善するためにカレーライスが提供されるようになりました。カレーの具になるジャガイモ、にんじん、タマネギは北海道で多く生産されており、札幌農学校でも栽培していたため、定番の具として定着しました。

第二次世界大戦後になると、学校給食としてカレーが全国で採用されるように。これは、終戦直後の食糧事情が悪かった日本に、インドからたくさんのスパイスの提供を受けたことや、カレー業界の関係者がカレーを広めようと努めた結果でした。

・日本の経済成長とともにカレーライスも進化を遂げた!

なぜ日本でカレーライスは進化した?独自の進化を遂げた理由とは?4
当初はカレー粉で味を調えて、小麦粉でとろみをつける手間のかかる料理でしたが、明治36年(1903年)に大阪・道修町の薬種問屋「今村弥兵衛」が初めて即席カレー粉を発売。その後、大正15年(1926年)には現在のハウス食品となった「稲田食品製造所」からカレー粉、小麦粉、油脂、調味料などを混ぜ合わせたインスタントカレー「ホームカレー」が発売され、家庭でも手軽にカレーが作られるようになりました。さらに高度経済成長期の昭和44年(1969年)にはレトルトカレーが発売され、ますますカレーは日本人にとって身近な食べ物へとなっていったのです。

インドと日本のカレーの違いとは?

・一番の識別点は“サラサラかトロトロか”の違い

インドと日本のカレーの違いとは?
そもそもインドのカレーはスープのようにサラサラなのに対して、日本のカレーはルーを使うのでとろみがあります。また、インドのカレーはスパイスをメインに構成されているので素材の味よりスパイスありき。日本のカレーは具の味がいきるようにスパイスは控えめなことから、全く違う食べ物として進化をしてきました。また、インドにはヒンドゥー教やイスラム教を信仰している人が多く、宗教上の理由で牛肉や豚肉を口にすることができませんが、日本ではビーフカレーやポークカレーが主流です。

・手で食べるインド式、スプーンで食べる日本式

インドと日本のカレーの違いとは?2
そしてインドのカレーは細長くパサパサしているインディカ米やナンなどと一緒に食べますが、日本のカレーは粘り気のある白米を組み合わせて食べます。ちなみに、米を主食とする南インドでは粘り気の少ないインディカ米にサラッとしたスープのようなカレーを合わせますが、小麦の生産が盛んな北インドではナンやチャパティといった薄焼きのパンのようなものをトロッとしたカレーにつけるのが一般的とのこと。インドでも地方によってスタイルが異なっていることが理解できますが、食べ方はいずれも手を使うのに対して、日本はスプーンで洋食のように食べるカレーライスへと進化し、全く違う食べ物として認識されるに至りました。

カレーライスとライスカレーの違いは?


・東京オリンピックを機にカレーライスに一本化

カレーライスとライスカレーの違いは?
いまでもお店によって呼び方が異なる日本のカレー。定義については諸説あるものの、「ライスカレー」はライスにカレーがかかった状態で提供されるもの、「カレーライス」はライスと別の容器でカレーが提供されるものを指しているそうです。昭和39年(1964年)の東京オリンピック開催の頃には、一般的な呼称がライスカレーからカレーライスに一気に変化したと言われていますが、この頃にカレーが家庭料理として定着し始めたことによって、カレーはカレールウのことを指すイメージが強まり、ライスよりもカレーを重視する方向に傾いたためカレーライスが広まったとする見解が多いようです。

日本のカレーライスのルーは何でできているの?


・カレールウのとろみの元は小麦粉と油脂

日本のカレーライスのルーは何でできているの?
一般的なカレールウは、スパイスと小麦粉、澱粉、油脂、調味料を主体とした構成になっています。市販のルウは商品毎に様々なブレンドがあり、使う具材に合わせたり、辛さも好みで選ぶことができます。油脂はバターや牛脂、パーム油など様々なものが使われ、スパイスは複雑な味を生み出すために何十種類もブレンドされています。具材との相性を考えた旨味調味料などもあらかじめ混ぜ込まれ、チャツネやフルーツ、シーフードやビーフのエキスが入っているものもあります。また最近は、とろみ成分の小麦粉や澱粉の配合を抑えてサラッとしたカレーが作れるルウも選べるようになりました。

日本のカレーライスの食べ方


・西洋のテーブルマナーに準じて食すのが正解

日本のカレーライスの食べ方
日本のカレーライスは洋食のひとつに分類されますので、食べ方も欧米や老舗ホテルでのテーブルマナーに則した食べ方が正しいとされています。ライスとルウがお皿に盛られた状態で出された場合、基本的に混ぜるのはNG。お皿をできるだけ汚さないよう、ルウの食べ跡を最小限にしながら米粒も残さないように食べることができればスマートです。

食べ始めは、ライスとルウの境界線から、ライスをルウに寄せていくように食べ進めます。お皿の中心に少しずつスペースが空いていくように食べれば、ライスの部分は白いままを保てますし、お皿がルウで汚れる面積を抑えることができます。そして、ライスをすくう時にはスプーンをできるだけ縦に入れて、一口サイズで持ち上げれば、お皿に米粒が残ることもなく、よりキレイに食べ終えることができます。

・ライスをルウにつけて食べる、という暗黙のルール

日本のカレーライスの食べ方2
また、ライスと別にルウがソースポットに入って提供された場合、一度にすべてかけてしまうのはNG。ライスの山の手前のほうに、レードルでルウを2~3口分ずつかけましょう。最初にルウをかけたエリアをソーススポットとして、ルウを食べ終えるごとに同量をかけ入れて食べ進めば、お皿を必要以上に汚すことなくキレイに食べ終えることができるでしょう。

なお、前述のように日本のカレーライスは洋食のメニューという位置づけであり、洋食の中では米は野菜と定義されるため、お店によってはスプーンでなくフォークが供される場合があります。この場合も、フォークの背にライスをのせて、ルウに寄せていく食べ方をすれば、キレイにスマートに食べることができますよ。ぜひ一度、カレーライスの正しい食べ方を実践してみてください。

これが日本のカレーライス! カレーライスのレシピをご紹介!


・ビーフもチキンも野菜も!家庭料理の基本の基本「王道カレーライス」のレシピはコレ!

これが日本のカレーライス! カレーライスのレシピをご紹介!
独自の進化を遂げてきたジャパニーズ・フードの代表格「カレーライス」。どこの家庭でもそれぞれの“おふくろの味”があると思いますが、ここでは一般的かつ基本的なカレーライスのレシピをご紹介しましょう。

まず、具に使われる野菜は、ジャガイモ、タマネギ、ニンジンが基本の3種。お好みで、ブロッコリー、茄子、オクラなど旬のものを加えるのも良いでしょう。
これだけでも「野菜カレー」ができますが、メインの具を牛肉にすれば「ビーフカレー」、鶏肉であれば「チキンカレー」、豚肉であれば「ポークカレー」となります。メインのほか、海老やホタテの貝柱、タコ、イカなどのシーフードを加えると、素材のエキスが出て美味しくなりますね。

・野菜と肉は炒めてから煮込むべし

これが日本のカレーライス! カレーライスのレシピをご紹介!2
お鍋にサラダ油を熱して、メインの具と野菜を一口大に切ったものを炒めます。全体的に火が通ったら水を加えて、アクをとりながら弱火~中火で具材が柔らかくなるまで15分ほど煮込みます。

・ルウを溶かしてからのアレンジが家庭の味に

これが日本のカレーライス! カレーライスのレシピをご紹介!3
具が柔らかくなったら、一旦火を止めてルウを割り入れます。ルウが溶けきれば、弱火でとろみがつくまで10分ほど煮込んで、完成です。
  
仕上げに生クリームを加えたり、隠し味でウスターソースをかけたり、ご家庭ごとにアレンジできるのもカレーライスが普及した要因のひとつです。常識にとらわれず、食べたことのないカレーライスに挑戦してみるのも楽しいかもしれませんね。

なお、日本のカレーライスの原点とされる元祖海軍カレイライスのレシピが海上自衛隊のホームページで紹介されています。カレーライスの祖先を思いながら、一度ご家庭で作って食べてみてはいかがでしょうか?

http://www.mod.go.jp/msdf/kanmeshi/menu/cr/026/index.html

カレー消費量日本一の都道府県は?

カレー消費量日本一の都道府県は?
日本で一番カレーを消費している都道府県は鳥取県。鳥取県はらっきょうの生産地として有名で、カレーの付け合わせとして食されることから自然とカレーの消費が増えたことや、夫婦共働きが多いため手間を省くために作り置きのきくカレーがよく作られることがその理由と言われています。

ちなみにカレールウの購入額が全国一なのは新潟県で、これは逆に新潟県内にカレー専門店やインド料理店が少なく、その反動で家庭や一般的な飲食店でのアレンジ・カレーが頻繁に食されるためと言われています。新潟県内の飲食店では、カレー味の唐揚げやカレーラーメン、カレーサンド、カレーイタリアン、カレー焼きそば、カレー冷やし中華、カレーどら焼きなどユニークなカレーメニューが見られます。

日本のカレーライスはここで食べよう!JOURNEY of JAPANが紹介するカレーライスのレストラン

・カレーライスの元祖をレストランで食べる

「大阪・自由軒の名物カレー」

日本のカレーライスはここで食べよう!JOURNEY of JAPANが紹介するカレーライスのレストラン
明治43年(1910年)から続く老舗の西洋料理店。こちらでは「名物カレー」と呼ばれる“混ぜカレー”が創業当時から人気です。まだ保温機能の付いた炊飯器などがない時代に、アツアツのカレーライスをお客様に食べて欲しいという思いから考案された「名物カレー」は、定番のカレーライスとは様相が違うものの、日本で独自に進化してきたカレーライスの一端を担う名作として食通から愛され続けています。

「自由軒難波本店」
●大阪市中央区難波3-1-34
●11:30-21:00
●月曜休み
http://www.jiyuken.co.jp/


「東京・ボンディの欧風カレー」

日本のカレーライスはここで食べよう!JOURNEY of JAPANが紹介するカレーライスのレストラン2
日本のカレーライスのルーツとなる欧風カレー発祥の地とされるのが、神田神保町の人気店・ボンディです。フランス料理を学んでいた創業者が、フレンチの基本となるブラウンソースに、スパイス、フルーツ、野菜、赤ワインなどをブレンドして生み出した複雑な味わいは、一度食べると忘れられません。お通しで出される名物のジャガイモも人気のヒミツです。

「欧州カレーボンディ 神保町本店」
●東京都千代田区神田神保町2-3 神田古書センタービル2F
●11:00-22:00
●無休
http://bondy.co.jp/web/


・カレーライスの元祖を家庭で味わう

「大阪・ハチ食品のレトルトカレー」

日本のカレーライスはここで食べよう!JOURNEY of JAPANが紹介するカレーライスのレストラン3
明治36年(1903年)に初めて国産の即席カレー粉「蜂カレー」を発売した薬種問屋「大和屋」は、現在も「ハチ食品」としてスパイスやカレールウ、レトルトカレーなどを販売しています。発売当初から変わらない蜂マークのパッケージで今も売られる「蜂カレー」は、厳選された22種類のスパイスを配合したカレーパウダー。家庭で作るカレーライスに使うと懐かしい味が楽しめます。手軽に味わえるレトルトカレーも好評です。

http://www.hachi-online.net/


「東京・新宿中村屋の純印度式カレー」

日本のカレーライスはここで食べよう!JOURNEY of JAPANが紹介するカレーライスのレストラン4
昭和2年(1927年)に英国式ではないインドカレーを伝えたとされる新宿中村屋では、純印度式カレーを今に伝えるレトルトカレーが人気です。小麦粉でとろみを出すのではなく、タマネギを形がなくなるまで炒め、ヨーグルトやブイヨンを加えてとろみを出す純印度式カレーは、素材に拘った品のある風味で今も根強いファンを多く持っています。

https://nakamuraya.jp/

日本のカレーライスのまとめ

いかがでしたか? 日本で独自の食文化として発展し、老若男女がおいしく食べることのできる栄養価の高い国民食として定着した「カレーライス」。戦後、子供たちの発育を支え、また日本経済を支えてきたと言っても過言ではありません。今では生まれ故郷であるインドに「ジャパニーズ・カレーライス」として逆輸入されるほどまでに成長した庶民の味は、これからも世界を舞台に進化を続けていくことでしょう。

※2018年8月27日現在の情報です。詳細は直接お問い合わせの上おでかけ下さい。

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