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奈良公園

2018.11.28

明治13年(1880年)、奈良市春日野町に開設された「奈良公園」は、東大寺、興福寺、春日大社、正倉院、奈良国立博物館などを有する、緑豊かな自然美と歴史が調和する名勝です。公園の面積はおよそ500ヘクタール、周辺の寺社も合わせた総面積は660ヘクタールと広大で、国宝や世界遺産に登録された建物が数多く点在。年間を通じ、国内はもとより海外からも多くの観光客が訪れます。今回はこの日本を代表する名勝を紹介しましょう。

奈良公園
世界遺産に登録された春日山原始林を有する広大なこの都市公園はまた、他所とは比較にならないほど多種多様な紅葉が初冬まで楽しめます。

また、園の東側、標高342mの芝生に覆われた若草山は、観光客だけでなく地元の人々もよく訪れる絶景ポイント。新日本三大夜景にも選ばれた展望台からは、奈良市内を中心とした約200度の大パノラマが楽しめます。車で山頂近くまでいけるので、デートスポットとしても人気です。

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絶景で人気の若草山ですが、もうひとつ、奈良を代表する行事が行われることでも知られています。毎年1月の第4土曜に開催される「若草山の山焼き」です。古都・奈良の早春を告げる伝統行事で、山全体が燃やされ、夜空を焦がす景色はまさに圧巻。18時半頃から上がる打ち上げ花火を合図に、一斉に若草山に火が放たれます。冬の夜空を鮮やかな光と色で染める山焼き直前の大花火と号砲で始まる山焼きを見に、県内はもちろん、県外からも多くの見物客で訪れます。

奈良公園とは?

明治時代(1868-1912年)に入り、近代化の流れから公園が制度化され、明治13年「奈良県立都市公園 奈良公園」として正式に整備されました。しかしその歴史は古く、奈良時代(710-794年)にまで遡ります。始まりは平城京に都が置かれ、寺社や仏閣が建てられたところから。神域として人の手が入らず、原始林の生い茂る春日奥山までの東西4km、南北2kmにおよぶ敷地では、東大寺の大仏、春日大社、正倉院など、数多くの歴史的建造物を見学することができます。奈良公園の一部は春日大社の境内でもあり、その春日大社の祭神、武甕槌命(タケミカヅチノミコト)は、茨城県の鹿島神社から神鹿に乗ってやってきたと伝えられています。そのため、ここ奈良公園では、鹿は神の使いとして古くから手厚く保護されてきました。

奈良公園とは?
園内は、歴史的建造物を中心に一年を通して夜間ライトアップが、行われています。昼間とはまた違った趣を醸すこの「ライトアッププロムナードなら」は、もともとはシーズンオフである夏場の対策として実施されていましたが、今ではすっかり定着し、夏の奈良の風物詩となっています。

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ろうそくの灯りで包まれる夏の風物詩「なら燈花会(とうかえ)」。古都の夜を幻想的に彩る灯りのイベントで、園内8つのエリアでは20,000本以上のろうそくが美しい灯の花を咲かせます。誰でも参加できる「一客一燈」もあるので、願いを込めてろうそくに明かりを灯してみましょう。旅のすてきな思い出になるはずです。

奈良公園といえば鹿!鹿はなんで奈良公園にいるの?

奈良公園の鹿は、園内に鎮座する春日大社の神の使いであると言い伝えられてきました。春日大社創建の際、茨城県の鹿島神宮の祭神・武甕槌命が白い神鹿に乗ってやってきたと伝えられ、それ以来、手厚く保護されてきました。国の天然記念物として指定されている園内の野生の鹿たちと間近で触れ合えるのは、奈良公園の大きな魅力の一つです。

園内の鹿は飼育されているわけではなく、法律によって保護されている、という位置付けで「管理者」はいません。しかし、奈良公園には「奈良の鹿愛護会」という団体があり、鹿の保護のための調査・研究をはじめ、病気や怪我をした鹿や出産を控えた雌を捕獲して鹿苑へ収容する、雄鹿の角切り、公園付近の見回りといった活動を行っています。

奈良公園といえば鹿!鹿はなんで奈良公園にいるの?
公園の主で天然記念物である鹿、個体数はメスがオスの3倍近くいると言われています。その理由は簡単、メスの方が長生きをするから、とのこと。過酷な大自然とは環境が異なり、ここでは鹿達も寿命を全うすることが多く、自然と長生きするメスの個体数の方が多くなったのだそう。

鹿の角はオスだけに生えるもので、春先に抜け落ち、新しいものが生えてきます。年齢によって形や大きさは異なりますが、夏ごろには硬い立派な角になります。秋は恋の季節。立派な角が生えたオス鹿は角を突き合わせてケンカし、より強い鹿がメスを手に入れます。角の生えた鹿はカッコいいですが、少しでも襲われたらケガのもと。特に恋の季節には気が立っていますので遠くから見守りましょう。

奈良公園の鹿は「ホンシュウジカ」というニホンジカの亜種で、その名のとおり本州に広く生息しています。奈良公園だけでなく、奈良市に生息する鹿はこの一種類のみで、野生動物が市街地で人間と共生している場所は他に例がありません。公園の一帯に住む鹿は「奈良のシカ」として1957年に国の天然記念物に指定されています。奈良公園では通常の木々よりも低い位置に植林されています。鹿が木の葉などを食べやすい高さにしてあるのです。

一見何も考えずに行動しているように見える園内の鹿ですが、実はきちんと規則正しい生活をしています。まず日の出と共に餌場へ出勤。餌場というのは、せんべいをくれる観光客がいる参道や公園内の草原のことです。ここで1日を過ごした後、夕暮れと共に泊まり場に移動、20頭前後のグループで夜を過ごします。昼間は鹿で賑わう参道でも、夜は鹿の姿は一頭も見られなくなります。

奈良公園といえばコレ!奈良公園でするべきこと

なんといっても楽しみは鹿の餌やりです。奈良公園には1,000頭以上の鹿が生息しており、鹿せんべいをあげて彼らと触れ合うことができます。鹿と会うのは日中がおすすめ。朝の8時30分頃~夕方頃まではいるようです。鹿は誰が鹿せんべいを買ったのかを遠目で見ていて、鹿せんべいを買った人の傍にすぐに近づいてきます。

奈良公園といえばコレ!奈良公園でするべきこと
「見た事のない人=餌をくれる人」と認識しているらしく、観光客に鹿が群がって追いかけられるのはそのためのようです。コツは、鹿せんべいを購入しても、とにかくあげるまでは鹿にせんべいを見せないこと。お目当てや、あげてもいいなぁという鹿を見つけたら、袋から一枚ずつ取り出してあげましょう。あげようと思ったら、素早くせんべいを差し出すのが安全です。その際、手を高くあげて、お辞儀をしながら「ありがとう」というと、鹿がお辞儀を返してくれることも。

奈良公園といえばコレ!奈良公園でするべきこと2
鹿せんべいは10枚で150円。米ぬかと小麦粉のみで作られていて、砂糖も塩も入っていません。シカにとってとても安全なおやつです。

また、あまり知られていませんが、奈良公園で亡くなる鹿は年間約360頭に上ります。このうち100頭前後が交通事故によるものだとか。これらの鹿は公園内の鹿苑で火葬され、鹿塚に埋葬されます。また毎年11月には鹿煎餅の製造業者らが参列するなか、春日大社の神職により、供養のうえ慰霊されます。鹿とはいえ神様(春日大社)の使いなのでちゃんと供養されているわけです。この鹿苑は公園内にありますので、ぜひ一度立ち寄ってみてください。

奈良公園の歩き方

奈良公園は、奈良県北部、京都にも隣接する奈良市の公園です。有名な鹿をはじめ、歴史的建造物や自然とも触れ合える、奈良で最も見どころの多い名勝であり、観光スポットでもあります。

奈良公園の歩き方
園内でもひときわ目立つ、奈良のシンボルともいえる五重の塔を有するお寺が「興福寺」です。仏像ブームの火付け役となった阿修羅像をはじめ、国宝の仏像が多く安置されています。全国の国宝指定を受けた仏像のなんと15%が興福寺所蔵です。興福寺国宝館には、三面六臂(3つの顔と6本の手)の阿修羅像などの仏像をはじめ、多くの寺宝が展示されています。

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奈良の大仏が鎮座する「東大寺」。大仏さまで知られる奈良時代の代表的な寺院です。世界最大級の木造建築である大仏殿、南大門の日本一大きな金剛力士像など、スケールの大きさは格別。奈良時代以来の歴史と、仏教文化の奥深さを今に伝えています。

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「浮見堂」は奈良公園の鷺池に浮かぶ六角形のお堂です。水面に写る姿が美しく、水辺の憩いの場となっています。のんびり散歩したり写真を撮ったり、芝生やベンチでお弁当を広げてくつろげるスポット。春は桜、秋は紅葉と、季節ごとに異なる風情を楽しむことができる園内でもオススメの場所です。

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「春日大社」は春日山原始林に続く御蓋山(みかさやま)の西麓に鎮座する、全国に1,000社ある春日神社の総本山。1998年には春日大社とその一帯がユネスコの世界遺産に認定されました。768年、平城京の守護と国民の繁栄を祈願するために創建された神社で、藤原氏の氏神が祀られています。神が白鹿に乗って奈良の地にやってきたという言い伝えから、鹿が神使とされています。歴史的建造物としても一見の価値がありますが、ほかにも、年間を通し、いつ訪れても楽しめる豊富な自然や、縁結びのご利益があるパワースポットとしても魅力的です。

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「奈良国立博物館」は、奈良公園の中でも特に人気の高い施設です。古代日本の仏教美術を中心に、主に文化財を展示物にしている博物館で、一度に100体以上の仏像を見られるのはここだけ。また「東京国立博物館」に次ぎ、日本で2番目に古い国立の博物館となります。日本屈指の仏像を展示する「なら仏像館」と、毎年秋に多くの来場者が訪れる正倉院展などを行う「東新館」「西新館」、中国古代青銅器を展示する「青銅器館」の4つのギャラリーがあります。展示物だけでなく本館の建築も見所です。明治期に建てられた数少ない日本の本格的な西洋建築は重要文化財にも指定されています。毎秋、正倉院展が企画されるので、このタイミングに合わせて観光するのがオススメです。日本の近代化のきっかけとなった明治時代の歴史に触れることができる、貴重なスポットです。

奈良公園で食事

■旬彩 ひより

専属農園で栽培する「大和野菜」の素材の味を存分に楽しめ、健康志向の女性を中心に人気のお店です。野菜料理だけでなく、鈴鹿山脈の清流で育った岩魚(いわな)や、奈良のブランド牛・大和牛を使用したメニューも。

奈良公園で食事
ならまち入口付近にある、コンクリート打ちっぱなしのモダンな建物が特徴的。店舗奥側の柔らかな日差しが差し込むテラス席も人気。

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先付・大和の野菜いろいろ・古代米ご飯・香の物・一人鍋・デザート(自家製わらびもち)などがセットになった「野菜びより」。

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大和の野菜を素材に応じて調理した、大和野菜の会席。土鍋で蒸した野菜は、甘くて滋味深い味。

「旬彩 ひより」
●0742-24-1470
http://naramachi-hiyori.jp/
●月、水~日、祝日、祝前日11:30-14:30 (料理L.O. 14:00)、17:00-22:00 (料理L.O. 21:00)
●火曜休み


■奈良町 豆腐庵こんどう

登録有形文化財に指定される、趣のある築180年の町家でもてなす豆腐料理店。大豆と天然にがりにこだわった豆腐作りを続ける「近藤豆腐店」が、自慢の豆腐をおいしく味わってもらいたいとオープンしました。おぼろ豆腐や生湯葉の刺身など、豆腐そのもののおいしさにこだわった多彩な料理が楽しめます。

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奈良町の風情たっぷりの一角に佇む「豆腐庵こんどう」。

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坪庭を眺めながら落ち着いたひとときを過ごせるテーブル席。ゆったりとした時間のなかで味わう国産大豆100%の豆腐料理は絶品です。

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メニューは基本的にはコースのみ。どのコースでも多彩な豆腐料理が楽しめます。ランチは「こんどう昼膳」のみ。

「奈良町 豆腐庵こんどう」
●0742-26-4694
http://www.kondou-touhu.co.jp/shop/shop_kon01.html
●12:00-13:30(最終入店13:30)、17:00-22:00(最終入店20:30)
●月曜・火曜休み(月曜・火曜が祝日の場合は営業。翌日代休)


■粟 ならまち店

近鉄奈良駅から歩いていける「ならまち」エリアにある、築140年の町屋を改装した「粟 ならまち店」。大和牛や大和伝統野菜など、奈良県産の食材を使った料理が楽しめ、ゆったりとくつろげる老舗店です。ランチのメニューは全部で4種類。夜のメニューは3,900円~5,000円の3種類が用意されています。

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古き良き街並みに馴染む隠れ家のような佇まいです。格子戸をあけると長い土間が奥のほうへと続いています。

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畳のお座敷のほか、テーブル席も。古民家を改装している店内は、蔵のお部屋、坪庭の見えるお部屋、隠れ部屋のようなお部屋と、いくつかの部屋に分かれており、どこへ案内されるかも楽しみのひとつです。

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かごに盛られて運ばれてきたのは、目にも鮮やかな粟「収穫祭」御膳。色とりどりの野菜が楽しめる、前菜の盛り合わせです。ひとつひとつが丁寧に作られていて、野菜の素朴な味わいが楽しめます。

「粟 ならまち店」
●0742-24-5699
※予約は電話で、必ず前日21時までに。当日のキャンセルは全額負担となりますのでご注意ください
https://www.kiyosumi.jp/naramachiten
●11:30-15:00 (最終入店13:30/L.O.14:00)、17:30‐22:00 (最終入店20:00/L.O.21:00)
●火曜休み

奈良公園への行き方

各都市~奈良へ

■電車の場合
東京~京都:新幹線約2時間10分
京都~JR奈良駅・近鉄奈良駅:特急約35分、急行約50分

大阪~JR奈良駅・近鉄奈良駅:快速約40~50分

■バスの場合
新宿~奈良(夜行):約7時間30分
名古屋~奈良(昼行):約2時間30分
関西国際空港~奈良:約1時間25分
大阪国際空港~奈良:約1時間

■奈良公園へ
JR奈良駅~奈良公園:徒歩約20分
近鉄奈良駅~奈良公園:徒歩約5分

奈良公園のまとめ

奈良は京都・鎌倉などと並ぶ日本有数の観光の街です。大阪や京都など、関西の主要都市からのアクセスの良さから、外国人旅行者の間でも奈良公園の人気が高まっています。世界遺産をはじめ、いくつもの神社仏閣を有するほか、名物の鹿や豊かな自然など、魅力がいっぱいです。奈良公園の公式ウェブサイトは、日本語と英語、韓国語、中国語(繁体字・簡体字)の5ヶ国語に対応。ウェブ上ではアクセス情報やイベント情報、奈良公園の歴史や見どころなどを配信しています。旅のプラン作りにぜひ利用しましょう。四季を通して楽しめる奈良公園、ぜひ一度足を運んでみてください。

※2018年8月9日現在の情報です。詳細は直接お問い合わせの上おでかけ下さい。

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