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日光

2018.08.23

日光
日光山内にある日光東照宮や日光山 輪王寺、二荒山神社の103棟(国宝9棟、重要文化財94棟)の建造物群と、それを取り巻く遺跡(文化的景観)が、1999年に「日光の社寺」として世界遺産に登録されました。日光は世界遺産の街。豪華絢爛な建造物はもちろん、美しい自然の景観、歴史、伝統文化、郷土料理など、見どころたっぷりです。昨年の観光者数は1,200万人を超え、外国人宿泊者も10万人以上に。年々その数を増やしています。

日光とは?どこにあるの?

◾山岳信仰の聖地として栄えた日光

日光とは?どこにあるの?
日光は、今から1250年以上も前の766年に、勝道上人(しょうどうしょうにん*1)が栃木県日光市を流れる大谷川の北岸(神橋付近)に紫雲立寺(四本竜寺)を建立したのが起源といわれています。767年には日光二荒山神社の元といわれている二荒神の祠(後の本宮神社)を建設。それから16年の歳月を経て、勝道上人が男体山の頂上を極めた後、中腹に神宮寺(中禅寺)、山頂に荒山神社奥宮を建立しました。その後、日光は山岳信仰の拠点となり、たくさんの修行僧が入山するようになります。山岳信仰とは山を神体と見なしたり、神仏が宿る場所、祖霊(*2)が住むところとして崇め、そこで諸々の儀礼や修行を行うこと。日光二荒山神社の神域は、日光国立公園の中核となる日光連山、華厳の滝、いろは坂などを含めた約3400haにもおよび、日本で2番目に広い境内地を誇ります。未だ手つかずの原生林や壮大な滝、雄大な山々など、険しくも美しい自然は、世界遺産の「日光の社寺」と共に見ておきたい絶景です。
(*1)上人:仏教における高僧の敬称、または称号
(*2)先祖(家族や親族)の霊魂

◾歴史の節目節目で栄え、守られてきた世界遺産
日光の歴史には4つの節目があったといわれています。最初の節目は日光山の開山、次の節目はそれまで京都にあった政治の中心が鎌倉に移った時代。その時の幕府の庇護のもと、大きく発展したといわれています。
そして最大の節目は、1603年からおよそ260年の長期にわたり続く江戸幕府を開府した初代将軍・徳川家康公が死去したときです。家康公の遺骸はすぐに静岡県の久能山東照宮に神葬されましたが、遺言により二代将軍秀忠公が東照社(後の日光東照宮)を造営し、一周忌を過ぎてから神霊を遷葬しました。このときより日光は、幕府直轄の地になったのです。造営された当時の東照宮は簡素な造りだったといわれています。その後、家康公を尊敬し、神のように信仰していた三代将軍家光公によって大造替され、現在のような姿になりました。
最後の節目は、幕末(1853年頃)から明治時代のはじめにかけて。この時期、「日光の社寺」には危機が2度訪れました。1度目は旧幕府軍と新政府軍が戦った戊辰戦争(1868-1869年)時、2度目の危機は明治政府によって「神仏分離令」が発令された明治時代(1868-1912年)です。「神仏分離令」とは、神道と仏教、神社と寺を明確にして区別し、分離させるという政策。それにより1871年に日光東照宮・二荒山神社・日光山 輪王寺の二社一寺に分けられました。その際、神社境内からの仏堂の移転、仏像の破壊や遺棄なども行われ、「神仏習合」(*3)の信仰で栄えた日光に混乱が生じます。そんな中、貴重な文化財が失われる流れに反対していた日光の町民の代表者が決死の覚悟で明治天皇に直訴、その現状を痛く思った明治天皇から「そのままに差し置け」という命と貨幣を賜ったおかげで、被害は最小限にすんだといわれています。
(*3)神仏習合:日本土着の神道と仏教信仰が混合し、一つの信仰体系として習合(再構成)された宗教現象のこと

日光の観光地

◾日光東照宮の見どころ
日光東照宮は、徳川家康公が神格化された東照大権現を祀っている神社。まず大きな石鳥居をくぐると、左側に五重塔、正面に迫力のある仁王像が左右に飾られた表門が現れます。一般的に寺にある五重塔や仁王像が神社にあるのは、建立当時の「神仏習合」の名残り。東照宮には、「神仏分離令」による「廃仏毀釈」(*4)の流れから守られた建築物が残っています。

表門から奥へ入るには、拝観受付所にて拝観料を支払います。門をくぐった正面では、東照宮境内29の建造物をわかり易く解説する音声ガイド(※)のレンタル(要預かり金)も可能。こちらの受付時間は9時~16時(11月~3月は15時まで)になります。東照宮では想像の象や三猿、眠り猫など、数々の動物の彫刻を見ることができます。その一つ一つに物語性があったり、意味や願いが込められているので、ガイドの説明を聞きながら観光するのがオススメ。建物に施された彫刻は、単なるデザインではなく、信仰形態や学問・思想があらわされているものなのです。
(*4)廃仏毀釈:仏教の寺院・仏像・経文の巻物を破棄し、僧尼など出家者や寺院が受けていた特権を廃すること

※専用のパンフレットに掲載された写真にペン先を当てると音声ガイドが流れるイヤホン付のペン型ガイド。日本語(大人用/子ども用)、英語、中国語対応。

●平成の大修復を終えた煌びやかな国宝・陽明門

日光の観光地
表門から奥へ進み、三神庫の上神庫の屋根下にある想像の象やご神馬をつなぐ神厩舎の三猿を見たら、御水舎(*5)で手を洗って口をすすぎ、身を清めましょう。その先には、本殿への入口となっている陽明門があります。陽明門には、なんと500以上の豪華な彫刻が。門を支える12本の白い柱にはグリ紋(渦巻きのような文様)が施されていますが、1本だけ文様の方向が逆にされています。この柱は「魔除けの逆柱」と呼ばれ、「建物は完成すると同時に崩壊がはじまる」といわれていたことから、逆にすることで未完成としているのです。また、陽明門の左右に伸びる日本最大級の花鳥の彫刻が施された極彩色の廻廊(国宝)も見事。その他、全体が胡粉(*6)で白く塗られた唐門(国宝)を眺めてから、脇の入口より御本社(国宝)の中へ入りましょう。拝殿・石の間・本殿からなる御本社は、東照宮の中でも最も重要な場所。中は撮影禁止ですが、天井や壁、柱に至るまで、霊獣などの精巧な彫刻や絵画が散りばめられ、芸術性の高い造りになっています。
(*5)ちょうずや・てみずや:参拝者が身を浄めるために手水を使う場所
(*6)貝殻を焼いて作った白色の顔料

●国宝・眠り猫の謎に迫る

日光の観光地2
三猿と並び有名な彫刻が眠り猫。小さい彫刻ながら、国宝に指定されています。眠り猫は奥宮へと続く坂下門の上部でうたた寝をしています。牡丹の花に囲まれ日の光を浴びて寝ているところから、「日光」に因んで彫られたとも。ちょうど後ろ側には竹林で遊ぶ2羽の雀の彫刻があり、諸説ありますが、これは猫のすぐそばで雀が遊べるほどの平和を表したものともいわれています。ですが、よく見ると、前足に力が入っていて、少し踏ん張っているようにも。徳川家康公の廟所(墓所)を守る門番のような猫ですので、何か起こればすぐに飛びかかれるよう、眠ったふりをしているという解釈もあります。実物をいろんな角度から見て、確かめてみましょう。

●207段の階段を上り、奥宮へ

日光の観光地3
坂下門から奥宮までの所要時間は約10〜15分(入場別料金)。杉林に包まれた厳かな雰囲気の石畳の道と207枚の一枚岩でできた階段を上ると、奥宮にたどり着きます。奥宮は御祭神の徳川家康公の廟所。中に入ることはできませんが、周囲をぐるりと回って御宝塔などを見ることができます。奥宮では、そこでしか買えないお守りも売られているので、記念品やお土産として購入してみてはいかがでしょう。全部をじっくり見てまわるには基本的に3〜4時間ほどかかります。時間帯により異なりますが、早めの時間帯が比較的に空いているので、なるべく早い時間に行った方がいいでしょう。

「日光東照宮」
●栃木県日光市山内2301
●0288-54-0560(日光東照宮社務所)
http://www.toshogu.jp/
●拝観料の詳細は日光東照宮のHPで要確認
●8:00-17:00(11月1日 ~ 3月31日は〜16時)※受付は閉門30分前まで
●無休
●東武日光駅より東武バス日光「世界遺産めぐりバス」で約8分、表参道バス停下車


◾️日光山 輪王寺の見どころ

日光の観光地4
日光山 輪王寺は本堂(三仏堂)・大猷院・大護摩堂・四本龍寺、奥日光の中禅寺・温泉寺などのお堂や本坊、さらに15の支院を統合してできています。日光山 輪王寺は、二荒山神社に元々あった仏教施設の総称のようなもの。明治時代の「神仏分離令」の荒波を越えて、現在のようになりました。日光東照宮や二荒山神社とは違い、仏像が鎮座し、仏となった徳川家光公の廟所もあります。家康公を尊敬し、神のように信仰していた家光公は、「自分の廟所は仏式で、荘厳(*7)は決して東照宮のそれを超えないようにと厳しく命じた」と伝えられています。その遺言を守り、四代将軍家綱公によって大猷院(国宝)が建てられました。拝観料を払えば、仁王門から大猷院の中までと、少し離れた場所にある本堂と護摩堂が見学できます。中でも二天門は日光の境内で1番の大きさ。日光東照宮との違いを感じながら見てまわってはいかがでしょう。
(*7)仏像や仏堂を美しく飾ること、またはその飾り

●日光東照宮とは違う魅力がある建築物

日光の観光地5
日光東照宮が煌びやかな色彩に黄金色が映えるよう造られているのに対し、家光公の廟所がある大猷院は少し落ち着いた雰囲気。漆黒をベースに金色の錺金具(かざりかなぐ)が光るように造られています。国宝に指定されている大猷院は、内部まで金彩豊か。天井には140枚の龍の絵が描かれています。また家光公が着用した鎧なども展示されています。

●本堂(三仏堂)の3体の黄金の坐像

日光の観光地6
本堂の内陣には、千手観音や阿弥陀如来、馬頭観音の黄金の坐像が鎮座しています。本堂は日光山はもとより、東日本で最大の規模を誇る木造の建物です。
※本堂は、約50年ぶりの大修理が行われているため、一部が仮囲いで覆われたり、通行場所が制限されています。

●日光山 輪王寺のお堂で座禅体験

日光の観光地7
日光山輪王寺の常行堂では、座禅を体験することができます(完全予約制・有料、別途拝観料)。時間や人数は相談可。座禅を組みながら心を落ち着け、じっくりと自分に向き合ってみてはいかが。

「日光山 輪王寺」
●栃木県日光市山内2300
●0288-54-0531
http://rinnoji.or.jp/
●拝観料の詳細は日光山 輪王寺のHPで要確認
●8:00-17:00(11月1日 ~ 3月31日は16時まで)※受付は閉門30分前まで
●無休
●本堂・護摩堂・宝物殿・逍遥園は東武日光駅より東武バス日光「世界遺産めぐりバス」で約7分、勝道上人像前バス停下車/大猷院・常行堂は東武日光駅より東武バス日光「世界遺産めぐりバス」で約15分、大猷院・二荒山神社前バス停下車

日光でおすすめのレストラン

◾️日光の名物を味わう

日光でおすすめのレストラン
日光の名物といえば、湯波。湯波は豆乳を温め、表面にできた薄い膜を一枚一枚丁寧に竹の串を使って引き上げたもの。しっとりとした生湯波や出汁が染み込んだ湯波の煮物、湯波で包んで揚げた饅頭など、湯波料理も様々。東武日光駅から日光東照宮に向かう国道119号沿いには多くの飲食店やお土産屋などが並んでいます。湯波懐石が楽しめる名店や湯波そばが食べられる店、湯波料理メニューがあるカフェレストランなど、ちょっと気になった店に立ち寄ってみてはいかがでしょう。

◾️地元自慢の食材を使用した多彩なメニューがあるカフェ

日光でおすすめのレストラン2
「かまや ~カフェ・デュ・レヴァベール~」には、地元食材をふんだんに使ったメニューが揃っています。日光産小麦のピザやオーナーパティシエこだわりの自家製ドリンク・スイーツなど、好評なメニューがいっぱい。人気は前日光牛のローストビーフと巻き湯波が乗った名物色豊かな丼。価格も比較的リーズナブルです。

「かまや ~カフェ・デュ・レヴァベール~」
●栃木県日光市松原町12-6
●0288-54-0685
●11:00-17:00(ラストオーダー16時)
●不定休
●東武日光駅より徒歩約1分

日光で人気のアクティビティ

◾️記念に着物で世界遺産めぐり

日光で人気のアクティビティ
日光で人気のアクティビティ2
着物レンタル処 COCON NIKKOを利用すれば、着物でお出かけするのに必要なものをすべて借りることができます。着物も豊富に揃っていて、お好みを選ぶことも。男性用、子ども用もあります。着付けもしてもらえ、荷物が多ければ預かってもらうことも。貸出時間は10時~17時(来店から出発まで約30分必要)と、長めの時間設定も嬉しい限り。記念に着物で世界遺産をめぐってはいかがでしょうか。

「着物レンタル処 COCON NIKKO」
●栃木県日光市石屋町404-2
●0288-25-6625(要予約)※下記HPより予約可
https://www.kimono-cocon.com/
●プラン価格はHPで要確認
●9:30-17:30
●水曜休み
●東武日光駅より徒歩約1分


◾大自然の絶景を求めて奥日光へ

日光で人気のアクティビティ3
JR日光駅や東武日光駅より東武バス中禅寺温泉行きに乗車して約40分、明智平バス停で下車し、ロープウェイ(有料)に乗ると標高1,373m地点まで上れ、華厳の滝と中禅寺湖が望める明智平展望台へ行くことができます。さらにバスで進み、中禅寺温泉バス停で下車して5分ほど歩くと華厳の滝に到着。華厳の滝は落差97mで迫力満点。エレベーター(有料)で下へ降り、滝壺近くから望むこともできます。華厳の滝から中禅寺湖畔へは歩いて行けるので、立ち寄って絶景を堪能しましょう。
※日光駅から中禅寺湖へ向かう第2いろは坂と、その復路となる第1いろは坂ではルートが異なるので、明智平には中禅寺湖へ向かう途中で立ち寄らないと行けません。

日光で泊まるならここ!日光のホテル

◾現存する日本最古のクラシックホテル

日光で泊まるならここ!日光のホテル
日光には、ヘレンケラーやアインシュタインなどが宿泊したというクラシックホテルがあります。日光金谷ホテルの創業は1873年(明治6年)。現存する日本最古のクラシックホテルです。日光東照宮までは車で約5分、徒歩でも15分ほどという好立地。ホテルからは日光東照宮の杉木立や遠く日光連山なども望めます。ホテルの創始者が日光東照宮の楽師(*8)を務めていたことから、館内には眠り猫や想像の象など、日光東照宮を思わせる彫刻や装飾が施してあります。明治時代から増改築を繰り返していますが、開業当時の趣が色濃く残っていて、歴史的価値から各館が日本の登録有形文化財として登録されています。また古くは明治時代の装飾品が飾られているメインダイニングルームでは、歴代の料理長(親方)から受け継がれてきた伝統あるフランス料理を味わうことも。地域色が出た日光虹鱒のソテーなども好評です。
(*8)音楽を演奏する人や奏楽に従事する人のこと


●アンティーク調の落ち着いた調度品が配された客室

日光で泊まるならここ!日光のホテル2
客室も開業当時の趣を色濃く残していています。和洋が不思議に調和した造りで、宿泊者はその建築美を楽しみながら滞在できます。


●宿泊客以外でもランチ利用OK

日光で泊まるならここ!日光のホテル3
クラフトラウンジには、大正時代のカレーのレシピを再現したライスカレー(写真左)や、ハンバーグ・虹鱒のフライなどを1皿に盛り付けたメニュー(写真右)などが。甘味処では日光湯波が添えられた鴨そばや日光天然氷のかき氷などが味わえます。メインダイニングもランチタイムは宿泊者以外でも利用可。営業時間は異なるので日光金谷ホテルのホームページで要確認。

「日光金谷ホテル」
●栃木県日光市上鉢石町1300
●0288-54-0001
http://www.kanayahotel.co.jp/nkh/
●宿泊プランは日光金谷ホテルのHPで要確認
●東武日光駅より東武バスで約5分、神橋バス停下車(シャトルバス有)

日光までの行き方

◾東京から日光へ行く方法
オススメは東武鉄道浅草駅より特急で東武日光駅へ行くルート。乗り換えなしで行け、予算は片道3,000円ほど、所要約1時間50分。JR新宿駅から東武日光駅への直通も発着していて、こちらは所要時間約2時間で予算は4,000円ほどになります。また日光の観光スポットをめぐるのはバスが便利。乗り降り自由のお得なバスチケットが東武日光駅ツーリストセンターやJR日光駅のみどりの窓口で購入できます。はじめて日光を訪れるのなら、日帰りバスツアーを利用するのもいいでしょう。英語または中国語対応のバスツアーもあり、昼食付きで1万円ほどです。様々なアクセス方法や東京からのツアー、日光エリアの鉄道・バスが乗り降り自由になるフリー切符などがあるので、ツアー会社などに確認して出かけるのがよいでしょう。

日光までの行き方

日光のまとめ

日光は紅葉のメッカ。特に中禅寺湖や明智平、華厳の滝、いろは坂は、秋の紅葉シーズンが最も混み合います。いろは坂は渋滞するので、移動時間にかなり余裕を持って行動しなければなりません。日光は高低差が激しく、場所によって紅葉のピークが異なります。例年、中禅寺湖10月中旬〜下旬、いろは坂10月中旬〜11月上旬、世界遺産「日光の社寺」付近11月上旬〜下旬が見頃です。
※紅葉の見頃は気象条件などにより前後します。

※2018年6月29日現在の情報です。詳細は直接お問い合わせの上おでかけ下さい。

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