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そば

2018.07.31

世界が認める日本の食文化が育んだ「そば」。健康志向の強い欧米諸国を中心に、ここ数年で数多くの日本そば専門店がオープンしています。日本のサラリーマンなどに人気の立ち食いそば店でも、最近では外国人の姿を多く見かけるようになりました。ヘルシーかつ栄養価も高く、健康によいことはもちろん美容にも効果的な食べ物です。

そばとは何?

そばとは何?
日本におけるそばの歴史は縄文時代(紀元前1万3千年頃〜紀元前4世紀頃)から始まります。そばの花粉の存在が、高知県の地層で確認されていて、これが日本における最古の「そば」だとされています。鎌倉時代(1185-1333年)に入り、中国から石臼(いしうす)が伝わったことで、大量生産が可能になります。蕎麦の実を挽き、粉にして料理に使うことができるようになり、「そばがき」や「そば焼き餅」が広がっていきます。この頃のそばは現在のような細長い麺状ではなく、団子や餅のような形状だったと言われています。最初は米の代わりとして食べられていたため、その当時は麺の形をしていなかったそばですが、今ではすっかり日常に定着した食べ物となりました。

「そばの定義」はたった1つ。「そのそばのなかに含まれている成分のうち、30パーセント以上がそば粉であること」です。たとえ残りの70パーセントが小麦粉などそば粉以外の原料を使っていても、「そばである」と言えてしまうのです。

そばの種類

そばの種類
そば粉の割合によっていろいろな呼び名があるそばですが、代表的なものを2つご紹介します。まず、「十割(じゅうわり)そば」。そば粉だけで打つそばのことです。そばを打つとき、つなぎと呼ばれる小麦粉を使いますが、十割そばにはつなぎが一切使われていません。次に一般的な「二八(にはち)そば」。つなぎである小麦粉を2割、そば粉を8割で打つそばのことです。二八そばは、そばの風味やのど越しのバランスがよく、つなぎが2割入ることで打ちやすくなるのが特徴です。

江戸時代(1603−1868年)から庶民の食べ物として親しまれてきたそばですが、その中でも三大老舗と言われているのが「更科」「藪蕎麦」「砂場」です。違いを簡単にご紹介します。

●「更科(さらしな)そば」
真っ白な麺が特徴。そばの実を臼で挽いた時、一番初めに出てくる白い粉(一番粉)を使って作られたものです。ソバの実のより内部にある、胚乳の中心部の粉を使った蕎麦の名称です。実の中心部を使用して作る更科蕎麦は、一般的に知られる「そばの香り」は少ないものの、ほんのりした甘みと特有の風味があります。また、更科そばはタンパク質が少ないため、つなぎが多く必要になることも大きな特徴の一つ。つゆは甘めで上品な味わいです。

そばの種類2

●「藪(やぶ)蕎麦」
緑がかった麺の色が特徴です。これは蕎麦の実の甘皮の色によるもの。醤油の味が強めの塩辛いそばつゆを使用します。

そばの種類3

●「砂(すな)そば」
三大老舗の中では最も古く、16世紀の後半、場所はなんと大阪にそのルーツを持っています。

また、お店でもよく耳にするものに「田舎(いなか)そば」があります。白く細く繊細な風味の更科に対し、太めで黒っぽく、味わいの濃い「そばらしいそば」が田舎そばです。そばの実の外側の部分を使い、色だけでなく、そば本来の香りも強いとのが特徴です。更科そばに比べ栄養価が高く、タンパク質も多め。少量のつなぎで麺を打つことができます。

そばの種類4

ところで、お店に行くと同じような名前がいくつもあることに気づきます。「ざるそば」「もりそば」「せいろそば」って何か違うの?と思う人も多いはず。店舗によっては「もりそば」に海苔がのっていることもありますが、一般的には「ざるそば」と「もりそば」の違いは、海苔がのっているかどうか。海苔があるのが「ざるそば」、海苔がのっていないのが「もりそば」です。「せいろそば」は、本来蒸籠で蒸した温かいそばのことでした。現在は「もりそば」と「せいろそば」は器が違うだけのようです。お店にはどちらかがメニューにありますが、両方がひとつのお店にあることはほとんどありません。


続いて地方によって食べ方がまったく異なる「日本三大そば」をご紹介します。日本三大そばは、長野県の戸隠(とがくし)そば、島根県の出雲(いずも)そば、岩手県のわんこそばです。同じ日本のそばでも、それぞれに特徴があり、食べ方も三者三様です。

「戸隠そば」は、水をほとんど切らずに盛り付けたものを食べます。また、山に囲まれた長野で生まれた戸隠そばには、海苔をかけないこと、薬味に辛味のつよい大根を添えるのも特徴です。

通常のそばはめんつゆにそばをつけて食べるのが一般的ですが、「出雲そば」はつゆ自体をそばにかける、というユニークな食べ方で知られています。

地方3大そばの中では「わんこそば」が一番よく耳にする名前かもしれません。ひと口ほどの量をお椀に入れて食べ、食べ終わるとまたひと口分のそばをお椀に入れてもらう、という食べ方で有名です。

そばの種類5 戸越しそば

そばの種類6 出雲そば

そばの種類7 わんこそば

そばはグルテンフリー!健康に良い理由とは?

「グルテンフリー」とは、小麦粉を使用していないという意味。近年グルテンフリーの食品やメニューをなるべく口にしない「グルテンフリーダイエット」が注目を集めています。特にそばはグルテンを含まないことに加え、栄養価が高いことから人気だとか。グルテンフリーにこだわるなら、そば粉100%でつくられた十割蕎麦を選びましょう。

そばの栄養素は?

そばは食物繊維が豊富で、また、ルチンが含まれていることも特徴です。ルチンは穀類ではそばだけが持っている栄養素で、赤ワイン等に含まれるものと同じポリフェノールの一種。もり蕎麦、またはざる蕎麦を1枚食べると、ルチンを約30~50mg摂取できると言われています。また、そばを食べることでビタミンB1、B2も多く摂取することができます。

そばの作り方・レシピ

そばは、主に以下4つの工程を経て完成します。
1)そば粉と小麦粉をふるいにかけてよくかき混ぜることから始まる「水回し」。
2)ボロボロとした粉の塊を練りこんで、一つの玉にしていきます。木鉢の曲面を利用して前後左右の向きを変えながら練りこんでいく「こね」。
3)打ち台に打ち粉をふり、生地を台の上に置いて、手のひらでまるく延ばす「延ばし」。
4)生地の上下に打ち粉をふり、そばを細く均一に切るための小間板を左手で押さえ、包丁を小間板にあてながら均等の幅に揃えるように上から奥へ包丁を押し出すように切る「切り」。

最後は、大きな鍋で沸騰させたたっぷりの湯に、そばをほぐしながら入れます。お湯の中でそば同士がくっつかないよう箸で優しくかき回しながら茹でます。 麺の太さや茹でる量により異なりますが、打ちたての生そばは柔らかいので、茹でる時間は短くおよそ30~60秒ほどです。入れたそばが浮き上がり、再沸騰したら茹であがり。ざるですくい上げ、冷水で冷やしながらやさしくすすぎます。

そばは他にもこんな食べ方がある。そばサラダって?

・そばサラダ
野菜を切って蕎麦と混ぜ合わせ、お好みのドレッシングで和えるだけ。ヘルシー志向の高い欧米社会では、パスタの代わりに蕎麦を使ったサラダがカフェの人気メニューとなっているそう。腹持ちがよく、かつヘルシー、食材やドレッシングで違う味を楽しめるのも人気の理由です。野菜のほか、鶏肉や薄切りの豚肉などをのせるなど、ボリュームたっぷりなアレンジも自由自在に楽しめます。ポン酢しょうゆとオリーブオイルをアレンジしたオリジナルドレッシングや、豚肉にはめんつゆにごま油を加えたドレッシングもおすすめです。

そばは他にもこんな食べ方がある。そばサラダって?
●お蕎麦のおにぎらず(*)
ごはんの替わりに、お蕎麦を使ったおにぎらず。お弁当でお蕎麦が食べられる斬新なアイデアです。片手で手軽に食べられるお蕎麦です。
(*)おにぎらず:人気料理漫画で紹介されたことから人気となったメニュー。通常はご飯で作る。ラップの上にのりを乗せ、真ん中にご飯を平たく敷き、その上に具材をのせ、のりの四隅を折って四角にするもの。通常の握るおむすびに対し握らないことから「おにぎらず」という名前がついた。

●蕎麦とスモークサーモンの生春巻き
春雨の替わりにお蕎麦を使ったヘルシーな生春巻きで、ダイエットメニューとしてもおすすめ。カイワレ大根、キュウリ、パプリカ、サーモン、生ハムなどとも相性抜群ですが、何を巻いてもおいしくいただけます。

●蕎麦寿司
ごはんの替わりにお蕎麦を使用した巻き寿司。入れる具材によって、見た目もグッとおしゃれに。ホームパーティーの前菜などにもぴったりです。ほうれん草、カニかま、たまごで和風に、サーモン、アボカド、クリームチーズと合わせればカリフォルニア風に。アレンジ自在です。
★作り方
生蕎麦をバラバラ茹でて、寿司酢に浸けた蕎麦をザルに上げて3分待ちます。具は細切りにして、海苔の手前2分の1に具材がくるように置きます。キッチリ手で蕎麦を押さえながら巻き、一旦巻きすでギュッと押さえてから最後まで巻きます。押し過ぎると両端から蕎麦が出るので注意です。

そばは他にもこんな食べ方がある。そばサラダって?2

●そばいなり
その名の通り、ごはんの替わりにそばをつかったおいなりさん。染み込んだ甘辛い濃いめのダシが、香り高くあっさりとしたそばにマッチします。トッピングにはシンプルに刻み海苔や、ネギ、錦糸卵、マグロやエビなど、見た目もおしゃれなので、おもてなしにもぴったりです。

日本でそばを食べるならここ!JOURNEY of JAPANが勧める名店

■かんだやぶそば
「かんだやぶそば」は、東京都神田にある明治13年(1880年)創業の老舗そば屋さん。初代・堀田七兵衛が本郷団子坂の藪蕎麦本店から分店を譲り受けたのが始まりです。本家はもともと「つたや」という屋号でしたが、庭に竹やぶが多かったことから「やぶ」と親しみを込めて呼ばれていました。

日本でそばを食べるならここ!JOURNEY of JAPANが勧める名店
江戸前蕎麦の伝統を守る「藪蕎麦」の本店。

日本でそばを食べるならここ!JOURNEY of JAPANが勧める名店2
店内は、テーブル席と落ち着ける小上がりがあり、ゆっくりとくつろげる空間。注文を通す際は、注文内容を独特の口調で読み上げて厨房に伝えます。

日本でそばを食べるならここ!JOURNEY of JAPANが勧める名店3
かんだやぶそばの蕎麦の色は、淡青色。主に長野、青森、北海道、茨城など国産の最上級の蕎麦粉が使われ、蕎麦粉10に対して小麦粉1の割合です。そばつゆは昆布、鰹だしを使った醤油の味わいが濃い辛口。蕎麦を全部つけると辛いため、半分だけつけて食べるのがおすすめ。写真は「せいろうそば」。

「かんだやぶそば」
●03-3251-0287
http://www.yabusoba.net/
●11:30-20:30(L.O.20:00)
●水曜休み


■HONMURA AN(ホンムラ アン)
NYで人気を博した『HONMURA AN』は、スティーブ・ジョブスはじめ、数多くのセレブを魅了した伝説の店です。そのNYで最高のそば屋だった店が惜しまれつつも日本に戻り、10年が経ちました。元「本むら庵」という老舗の名店は、現在では洗練されたモダンな雰囲気のおしゃれなお蕎麦屋さんです。蕎麦の味はいうまでもなく、蕎麦通の舌も唸らせる絶品です。

日本でそばを食べるならここ!JOURNEY of JAPANが勧める名店4
六本木駅から歩いてすぐ。ビルの中二階にあり、知らなければ蕎麦屋とは気づかないほどモダンな入口。

日本でそばを食べるならここ!JOURNEY of JAPANが勧める名店5
店内は明るい木の色調が暖かな雰囲気。全体的にモダンな造りで、落ち着いた空間になっています。

日本でそばを食べるならここ!JOURNEY of JAPANが勧める名店6
席からそばを打っている様子をみることもできます。独特の蕎麦切りは逸品。夜は季節の素材を使った和食のコースをお酒とともに楽しめます。写真は天せいろ。

「HONMURA AN ホンムラアン」
●03-5772-6657
http://www.honmuraantokyo.com/
●平日12:00-15:00(L.O.14;30)、17:00-22:30(L.O.22:00)
 土日祝日 12:00-15:00(L.O.14;30)、17:00-22:00(L.O.21:30)
●月曜、第1・3火曜休み


■名代富士そば浅草店
外国人が日本で食事をするとき、選ぶお店の常に上位に君臨する「富士そば」こと『名代 富士そば』。東京都内を中心に首都圏で展開している、立ち食いそばのチェーン店です。浅草店は特に外国人率が高く、1年ほど前に大幅に内装がモダンテイストにリニューアル。日本のみならず、フィリピンや台湾など、海外にも積極的に展開中です。

日本でそばを食べるならここ!JOURNEY of JAPANが勧める名店7
店内に入ったら、まずは券売機で食券を購入します。注文する商品が決まったら、券売機に先にお金を入れます(日本円の紙幣、硬貨、交通系ICカードの使用が可能)。お金を入れたら、注文する商品のボタンを押しましょう。食券とおつりが出てきます。

日本でそばを食べるならここ!JOURNEY of JAPANが勧める名店8
何を頼めばいいかわからない!という人は、店頭にある食品サンプルを見てみましょう。精巧な食品サンプルを見れば、商品のイメージがわきやすいと思います。

日本でそばを食べるならここ!JOURNEY of JAPANが勧める名店9
天玉蕎麦。毎朝、各店に直送される生そばを茹でたてで提供。天ぷらは特製のフライヤーを導入して油を軽減しているのでヘルシーな仕上がり。「富士そば」では一般の蕎麦屋さんと同じように「茹でたあとに水で洗ってそばをしめる」という手間をかけることで、美味しい生そばが楽しめます。

日本でそばを食べるならここ!JOURNEY of JAPANが勧める名店10
蕎麦以外にもご飯物のメニューがあるので蕎麦と一緒に楽しむこともできます。中でもカツ丼は噛み応えのある一枚肉を使用。特製ダレと玉子をかけてふんわり作るかつ丼は、「富士そば」の看板メニューのひとつ。注文後に作るのでできたてを提供してくれます。

日本でそばを食べるならここ!JOURNEY of JAPANが勧める名店11
これまでありそうでなかった魅惑のコラボ、カレーカツ丼。カレーとカツ丼、どちらか迷ったら迷わずこちらを注文してみては?

「名代富士そば浅草店」
●03-5496-5061
●24時間営業
●無休

蕎麦のまとめ

蕎麦料理は、実は驚くほど世界中の国々に存在しています。フランスのガレット(蕎麦粉のクレープ)、イタリアのピッツォケリ(蕎麦粉のパスタ)、ネパールのロティ(蕎麦粉の薄焼き)、ロシアのブリヌイ(蕎麦粉のパンケーキ)などなど。現在、蕎麦の生産量1位は中国、消費量1位はロシア。一人あたりの消費量で世界一は、日本の10倍以上の蕎麦を食べているスロベニアだそうです。

世界中いろいろな食べ方、風習がありますが、水にこだわり、気温や湿度によって細かく状態を調整しながら、美味しさを追求し続ける日本の蕎麦職人が打つ蕎麦は、やはり日本人にとっては格別です。日本人の麺食文化において、その存在を欠かすことのできない蕎麦。その存在感は、12月31日に縁起を担いで食べる「年越し蕎麦」や引っ越しの挨拶に近所に配る「引っ越し蕎麦」など、日々の暮らしから、日本古来の習慣にも根強く残っています。

※2018年6月21日現在の情報です。詳細は直接お問い合わせの上おでかけ下さい。

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