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伏見稲荷大社

2018.07.17

伏見稲荷大社
赤い千本鳥居が建ち並ぶ姿でおなじみの、京都の伏見稲荷大社。お正月の三が日には国内外から多くの人が参拝に訪れ、近年は外国人観光客にも大人気。でも伏見稲荷大社は、もちろんあの千本鳥居がすべてではありません。ご利益や境内の回り方、見どころなど、知ってから参拝するともっと身近に感じられますよ。

伏見稲荷大社とは?

日本の神社で一番多いのが、稲荷神社、つまり「お稲荷さん」。全国に約3万社あると言われており、その総本宮が京都の伏見稲荷大社。御祭神である稲荷大神様がこの山に鎮座されたのが奈良時代の和銅4年(711年)2月初午(はつうま)の日ということで、実に1300年もの歴史ある神社なのです。初午の日は2月最初の午の日で毎年変わりますが、この日もまた「福参り」に訪れる多くの人で伏見稲荷大社は賑わいを見せます。

ところでなぜ「いなり」の名前が付いたのでしょう?その由来については諸説ありますが、山城国風土記によれば「イネが生った」ところから社名としたとあるそうです。古くは朝廷が雨乞い、止雨とともに五穀豊穣や、国の安穏を願った記録も残っています。またここは、日本を統一した人物のひとりである豊臣秀吉が母親の病気平癒を願ったことでも有名です。そして現在でも、商売繁盛、産業興隆、家内安全、交通安全、芸能上達の守護神として信仰を集めているのです。

ちなみに「お稲荷さん」と呼ばれる稲荷神社にはきつねの像が置かれていますが、きつねをまつっているわけではなく、稲荷大神様のお使い(眷族・けんぞく)がきつねなのです。ただし、野山にいる狐ではなく、大神様同様に我々の目には見えない存在といいます。

伏見稲荷大社の鳥居はどんな意味があるの?

伏見稲荷大社といえば、奥へ奥へと連なる赤い鳥居で知られています。しかし、あの印象的な千本鳥居は、神社の入り口ではありません。お参りをする本殿の背後にあります。そしてこの千本鳥居をはじめとして、境内(稲荷山全体)に、大小合わせて約1万本の鳥居があると言われています。これほどまでに多い理由は、願い事が「通る」、あるいは「通った」という御礼の意味から、鳥居を奉納する習慣が江戸時代に広まったためです。

また、全体として朱塗りが印象的ですが、これは魔力に対抗する色ともされていて、古代の宮殿や神社仏閣にも多く用いられてきました。この伏見稲荷大社の場合は、稲荷大神様の力による豊穣を表す色と言われています。さらに朱の原料は水銀で、昔から木材の防腐剤として使われてきたという面もあります。

これらの鳥居ですが、木材だけに寿命があり、だいたい10年で朽ちていくとか。しかし減る一方ではありません。次々と鳥居は奉納されているので、昔から変わらないようでいて、実は新しい鳥居が交ざっていたりするのです。

■鳥居を奉納したい場合は社務所、または稲荷山の各茶店まで。
初穂料は、最小の5号が175,000円で、最大の10号は1,302,000円~。奉納場所によって初穂料が異なります (1号は3cm。柱の直径を指す)。

伏見稲荷大社の入場料金は?チケットはどこで買えばいいの?

神社仏閣には、入場するために拝観料を支払うところもありますが、伏見稲荷大社ではそのような料金は必要ありません。
参拝は24時間いつでも大丈夫なので、好きな時に訪れ、お賽銭を入れて願い事をしましょう。

ただし、御札、御守りやご祈祷等については、受付時間が決まっていて料金も必要となります。御札、御守りの授与は7時~18時、ご祈祷は8時30分~16時30分(受付は16時)までです。

伏見稲荷大社でするべきことはこれ!

京都という世界的に有名な観光地にあり、フォトジェニックな景観で知られ、外国人にも人気の伏見稲荷大社ですが、観光施設ではなく、神聖な神社です。堅苦しく考えなくて大丈夫ですが、まずは参拝を。そして参拝する際は礼節を忘れずに。ここでは参拝の方法や、境内の見どころをまとめてみました。

その1:本殿で参拝をする
参道を進めば、一ノ鳥居に続きニノ鳥居、くぐるとすぐに「楼門」が出てきます。この楼門は、豊臣秀吉が母親の病気治癒を願い、建立したもの。この楼門の向こうに本殿があります。ここでしっかりと参拝をしましょう。

本殿左手に授与所があり、御札、御守りの授与や祈祷の受付を行っています。おみくじもここで引けます。縁起を呼ぶ神社ということから、ここのおみくじには「凶」がありません。その代りに、「大大吉」というめずらしい大当たりがあることも。ぜひ試してみて下さい。

伏見稲荷大社でするべきことはこれ! 1589年に建立された楼門

伏見稲荷大社でするべきことはこれ!2 本殿は、安土桃山時代の豪華で優雅な稲荷造り


参拝の方法について
1:最初の鳥居をくぐる前に神前に向かって軽く会釈をする(鳥居の先は神様の領域なので敬意を表するため)。
2:参道は真ん中を避けて歩く(中央は神様が通るため)。
3:楼門の手水舎(*1)で手と口を清める(お参りの前に自分の身や考えなどの汚れを取るため)。
4:お賽銭を入れて、本殿で鈴を鳴らし、2拝2拍手1拝(*2)をする。
お賽銭を入れるという以外は、なかなかわかりにくいのが参拝方法。
4の「2拝2拍手1拝」のあいだで願い事をするとスムーズでしょう。これはどこの神社でも通用しますよ。
(*1)ちょうずや・てみずや 参拝者が身を浄めるために手水を使う場所。境内、本殿前に設置されていることが多い
(*2)2拝2拍手1拝:拝=お辞儀のこと。「2回お辞儀→2回手を打つ→1回お辞儀」の一連の動作を指す

その2:千本鳥居をくぐる
本殿背後からさらに奥へ進むと奥宮。ここから大きな鳥居が数本連なり、そこをくぐっていくと高さ2mの千本鳥居が出てきます。千本鳥居の長さは約100m。二股(二列)に分かれていて、以前はどちらを選んで進んでもよかったのですが、今はより多くの人で賑わうようになったために、右から進み、左から帰ってくる一方通行になっています。この千本鳥居は、願い事をしながら通ると叶うと言われています。行きに目にするのはシンプルな赤い鳥居ですが、帰りは奉納者の名前が書かれている柱の裏側を見ながら戻ってくることになります。

伏見稲荷大社でするべきことはこれ!3 写真を撮る人も多いため、日中は特に賑わう千本鳥居

その3:奥社で「おもかる石」に挑戦
千本鳥居を抜けたところに、奥社奉拝所があります。奥社にお参りしたら、「おもかる石」に挑戦してみましょう。おもかる石と書かれた看板の両脇に一対の石灯籠があります。まずこの前で願い事。そして石灯籠の頭の部分を持ち上げて、思ったより軽いと感じたら願いが叶うと言われています。左右どちらの石灯籠でもいいそうですよ。

伏見稲荷大社でするべきことはこれ!4 おもかる石。思ったよりも重いと感じれば、願い事が叶う日が遠いとか


その4:「お山めぐり」を体験する
一番鳥居から奥社奉拝所までは約15分。「千本鳥居もくぐれたし満足」という人もいるでしょう。しかし、稲荷山全体を神域としている伏見稲荷大社だけに、ここで引き返すのは実にもったいない。ぜひ時間に余裕をもって訪れて、「お山めぐり」を体験してみて下さい(ちなみに、お山めぐりは、千本鳥居手前の大きな鳥居あたりから、すでに始まっていますが)。

伏見稲荷大社の境内は、その大部分が稲荷山。標高233m、西麓一体を含めた約26万坪で、甲子園球場の約22倍の面積があります。千本鳥居より間隔は空いてきますが、ところどころで連なる赤い鳥居をくぐりながら進む山歩きはなかなか風情があり、絶景ポイントや縁結びの神社など、見どころもいっぱいです。ここからお山一周は約4km、およそ2時間の道のり。ヒールのある靴やサンダルではなく、スニーカーなど歩きやすい靴で。スーツケースを持ったまま行くのももちろんNGです。

途中にはポイントごとに茶店があり、食事や休憩を取ることもできます。特に暑い季節は十分に休憩を取りながら進んでいきましょう。そしてもし体力的につらくなったら、来た道をそのまま帰ってくればいいのです。無事、山頂(一ノ峰)まで到達できたら、お参りも忘れずに。稲荷山の見取り図は http://inari.jp/trip/map01/ を参考に。

ところで、お山めぐりの途中には、いくつかおさえておきたいポイントがあります。お見逃しなく。
■四ツ辻から京都市内を一望する
奥社奉拝所から30分ほど歩いたところにある四ツ辻から京都市内を一望できます。稲荷山山頂からの眺望はないので、この四ツ辻でしっかりと堪能しておきましょう。

伏見稲荷大社でするべきことはこれ!5 四ツ辻からの眺め。ここまでの疲れが引き飛ぶような絶景

■四ツ辻から山頂までは、左回り(反時計回り)で進む
四ツ辻から山頂までの道はループ状になっていて、左右どちらからでも行くことはできますが、反時計回りで上ることをおすすめします。山頂に至る手前からの傾斜を考えると、御劔社よりも一ノ峰側から行く方が、傾斜がきつくないからです。

■縁結びの神様 「口入稲荷(くちいれいなり)」にお参りする

伏見稲荷大社でするべきことはこれ!6 荒木神社にある、口入稲荷大神。返礼された口入人形が並ぶ

山頂から下山する時に、三ツ辻から元来た道(千本鳥居経由)ではなく、行きとは異なるルートを進めば、荒木神社があります。稲荷山を歩けば実にたくさんの小さな神社に出合いますが、こちらには口入稲荷大神(くちいれいなりおおかみ)が祀られていることでも知られていている神社。口入稲荷大神とは、古来より縁結びをつかさどり、人々の良縁、求人、就職他、色々な人と人との縁を結んでくださると言われている神様です。

縁を結んでいただくためには、口入稲荷大神の使者であるきつねの姿をした縁結び口入人形(三体で一組)に願をかけて家に持ち帰り、願い事が成就するまでお祀りをします。そして願い事が叶った場合、そのまま家に置いておいてもいいそうですが、神社に人形を返納する人も多いそうです。返納されたきつねの人形たちがずらりと並んだ姿は、なかなか愛らしい風情がありますね。

また、この荒木神社には、オリジナルの手ぬぐいや絵葉書があり、口入人形や鳥居など、稲荷山にちなんだモチーフが描かれています。なんとこれらはすべて宮司さんの奥様がデザインしているのです。どの絵柄もそれぞれに味わいがあり、どれをお土産に選んでもきっと喜ばれるでしょう。

伏見稲荷大社でするべきことはこれ!7 口入人形手ぬぐい 初穂料800円

伏見稲荷大社でするべきことはこれ!8 この夏新登場の荒木神社オリジナル扇子(扇子立は別売り)

「荒木神社」
●京都府京都市伏見区深草開土口町12-3
●075-643-0651
http://arakijinja.jp/
●参拝自由
※神饌授与所は9:00-17:00まで
●授与品の初穂料
口入人形 三体一組 5,000円
オリジナルキツネみくじ 一体500円
オリジナル手ぬぐい800円、1,500円(京友禅染)
オリジナル絵葉書8種1枚200円
オリジナル扇子 2,800円、扇子立 1,000円
荒木神社オリジナルうちわ 1,500円

伏見稲荷大社周辺で買うべきお土産

1枚ずつ丁寧に手焼きする元祖きつねのお煎餅

伏見稲荷大社の参道では、キツネにちなんだ様々なお土産が売られています。その中でも特に人気を集めているのが、「総本家 宝玉堂」のきつねの面のお煎餅。創業約80年。初代店主の「京都の上質な白味噌を使ったお煎餅を焼きたい」との思いから生まれた稲荷煎餅発祥のお店です。やがて「きつね煎餅」が誕生し、伏見稲荷の定番土産となりました。今でも初代の頃と同じように、1枚ずつ型を使って手で焼いています。多い日は、1日に1,000枚近く焼くこともあるとか。他にも、鈴の形をしたお煎餅や、揚げたそら豆が入ったお煎餅などもあります。

伏見稲荷大社周辺で買うべきお土産
伏見稲荷大社周辺で買うべきお土産2 きつね煎餅は大小の2サイズ(写真は改定前の料金)

「総本家 宝玉堂」
●京都府京都市伏見区深草一ノ坪町27−7
●075−641−1141
●7:30-18:00
●定休日なし
●きつね煎餅:小きつね3枚390円、5枚600円、10枚1,200円。大3枚540円、5枚900円、10枚1,800円


好みの味に調合してくれる七味唐がらし

京都のお土産の定番となっている七味唐がらし。七味唐がらし本舗 おくむらでは定番商品に加えて、80年前の創業時からお客様の好みに合わせて七味をブレンドして販売。七味唐がらしと一口に言っても、唐がらし以外に決まりはなく、残りの6つの味については京都の中でもお店ごとに異なるそう。ただ、京都の七味は関東に比べて香りが強い傾向があるようです。ちなみにこちらのお店の七味は、一味、陳皮(みかんの皮を乾燥させたもの)、しそ、青のり、ごま、麻の実、山椒。地元の方の好みは「山椒多めの辛口」、逆に関東の人は「山椒なしで」が多いとか。京都らしい風味を取り入れたオリジナルの味を作ってもらえるのがうれしいですね。

伏見稲荷大社周辺で買うべきお土産3 中央が一味。左上から時計回りに、陳皮、しそ、ごま、山椒、麻の実、青のり

伏見稲荷大社周辺で買うべきお土産4 一番のおすすめは中辛(標準)。これをベースに好みに合わせて調合する。写真は辛口に調合しているイメージ

伏見稲荷大社周辺で買うべきお土産5 なぜ七味が定着したのかはっきりはしませんが、お店の方によれば「京都は他のところから色々なものが集まってきたものを美味しく食べる文化が発達し、加工技術も発達したのではないでしょうか。味付けが薄めなので、香り付けをするために七味作りが盛んになったのでは」とのこと

「七味唐がらし本舗 おくむら 伏見稲荷本店」
●京都府京都市伏見区深草稲荷中之町47
●075−641−2293
●10:00-17:00
●日曜休み(営業している場合もあり)
●七味唐がらし・ゆず入り七味(山椒の代わりにゆずをブレンド)各25g540円(調合料は無料)

伏見稲荷大社に行った時はここで食事を!

伏見稲荷大社に行った時はここで食事を! いなり寿司、うずらの丸焼き。伏見稲荷名物を味わおう

伏見稲荷大社は参道周辺やお山めぐりの途中にも食事処がいっぱいです。ところで五穀豊穣を願う伏見稲荷大社ですから、周辺には穀物を食い荒らすスズメやうずらを退治するために焼いて食べてしまおうという習慣があり、今でも丸焼きを食べさせてくれるお店があります。その一つが門前のすぐそばで風格ある佇まいを見せている「祢ざめ家(ねざめや)」。創業は1540年というから、実に477年も続いている老舗。豊臣秀吉も母親の健康祈願のために伏見稲荷大社を訪れた際に立ち寄ったという歴史があります。秀吉が訪れたのは早朝だったために、開いていたのはこのお店だけ。お茶を飲んで休憩ができた秀吉はたいそう喜んで、「ねざめや」という屋号を付けたそうです。そして「ね」の字には愛妻「祢々」の字を与えたとか。素敵なエピソードですね。うずら焼き、いなり寿司やきつねうどんなど伏見稲荷大社ならではの名物メニューや、訪日外国人に人気のうなぎ料理も揃えています。歴史を感じながら、じっくりと味わってみたいですね。

伏見稲荷大社に行った時はここで食事を!2 店頭で焼いているうずら焼き

伏見稲荷大社に行った時はここで食事を!3 お稲荷さんといえば、いなり寿司ははずせない

伏見稲荷大社に行った時はここで食事を!4 うなぎ丼・肝吸セット。アジア圏の観光客にうなぎ料理は一番人気。ミニうなぎ丼ときつねうどんのセットの注文も多い

伏見稲荷大社に行った時はここで食事を!5 うなぎ蒲焼きも店頭で

伏見稲荷大社に行った時はここで食事を!6 京都でハレの日に食べるごちそう、さば寿司もある

「祢ざめ家」
●京都府京都市伏見区深草稲荷御前町82−1
●075-641−0802
●10:00-17:00
●不定休(日曜は営業)
●うずら焼き800円
いなり寿司7個 1,000円
きつねうどん700円
うなぎ丼・肝吸セット2,100円
うなぎ蒲焼き 時価
ミニうなぎ丼・きつねうどんセット 2,100円
さば寿司 1,500円
※すずめ焼きは冬季限定(入荷が難しく提供できない場合あり)

「伏見稲荷大社」
●京都市伏見区深草薮之内町68番地
●075-641-7331
http://inari.jp/
●参拝自由
御札、御守りの授与は7:00-18:00、ご祈祷は8:30-16:30(受付は16時)。
●毎年夏には 本宮祭が行われている
2018年は7月22日(日)。
7月21日(土)には18時より宵宮祭
日本画家などの奉納による行灯画約400点が展観され、夕方から太鼓奉納などの神賑行事が行われる。
また、境内のたくさんの奉納提灯に明かりを入れられ、闇の中でライトアップされる様子が幻想的。

伏見稲荷大社の行き方

・電車を利用の場合
JR奈良線稲荷駅下車すぐ。または京阪本線伏見稲荷駅下車、徒歩5分

・市バスを利用の場合
京都駅より南5系統 稲荷大社前下車、徒歩7分

・車を利用の場合
名神高速道路京都南ICより約20分、または阪神高速道路上鳥羽ICより約10分

伏見稲荷大社まとめ

長く連なる赤い千本鳥居で知られる伏見稲荷大社ですが、それだけを体験して帰ってしまうのはもったいないことがわかってもらえたでしょうか?本殿でお参りをしたら、山の新鮮な空気を吸って、楽しみながら参拝を。お山めぐりは2時間ほどですが、茶店でゆっくりと休憩しながら、清々しい空気と神域ならではの厳かな風情を楽しんでみましょう。もちろん歩きやすい服装と靴で。
そして、歴史ある神社の周辺には、お土産や食事も趣あるスポットがいっぱい。たくさんの名物を堪能してみて下さい。

※2018年6月19日現在の情報です。詳細は直接お問い合わせの上おでかけ下さい。

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